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JA(邪)SRAC(楽)? その2

JASRACが強引なやり方をとるのは今回が初めてではない
最たるものが、音楽教室から著作権料をとる方針を発表し、多くの批判を浴びた問題
これに対して、宇多田ヒカルが
    「もし学校の授業で私の曲を使いたいっていう先生や生徒がいたら
                 著作権料なんか気にしないで無料で使って欲しいな」
          とツイッターに投稿するなど、アーティスト側からも疑問の声があがった

今年9月、ヤマハ音楽振興会など音楽教室を運営する約250の団体により
      JASRAC側には徴収する権利がないことの確認を求めた訴訟の
                          第1回口頭弁論が東京地裁で開かれている
このなかでJASRAC側は
               「一円たりとも創作者に還元しないのは極めておかしい」と主張
意見が真っ向から対立 今後も争いは続いていくことになる

こういった姿勢は、JASRAC会長も同じ
音楽教室の問題について記者から
        「音楽文化の根っこを弱らせると批判されている」と質問され、このように答えた
「音楽文化の振興を、JASRACの徴収が阻害するみたいな考え方はおかしい
   教室の方が積極的にそういうこと(著作権)を教えてクリエイターを増やし
             日本のいい楽曲をたくさん生んでいくことが、音楽文化の振興に必要」
詭弁としか思えないが、本番はここから
音楽教室から料金を徴収することは、音楽教育を阻害する行為であり
         それは将来的な音楽文化の衰退を招くものではないか
                              といった指摘をされるとこのように語った
「決して子どもさんからお金をいただこうと思っているわけじゃなくて
                     あくまでも営利目的の事業にペイメントをお願いしている
現に楽器教室なんかも全部子どもさんで成り立っているわけじゃなくて
                           子どもさんはほんの一部、大半は大人である」
音楽教室に大人がいないとは言わないが、「大半は大人」という説明には違和感しかない
仮に生徒が「大人」だったとしても、大人たちが楽器を習うことは
                        音楽文化の裾野を広げていくことに大きく寄与する
JASRAC会長の頭のなかはいかに金をふんだくるかだけで
                            音楽文化の普及などという観点はまったくない
彼らが本当に音楽文化の普及を考えているのであれば
                     批判に対してもう少し耳を傾ける姿勢があってしかるべき
そういう姿勢なら、そもそも「カスラック」などという声は出ないだろう
理事長にしろ会長にしろ揃いも揃ってなぜ批判を受けているのか理解しようとせず
            むしろ批判に対して挑発的な態度に出るJASRACという組織の前時代性

音楽教室からも著作物使用料を徴収する方針を打ち出したことに対し
     音楽教室側の団体「音楽教育を守る会」は徴収の保留を求めて文化庁に裁定を申請
JASRACは2018年1月に徴収を始める予定だが、先送りされる可能性がある
申請が認められ裁定手続きが始まると
             著作権等管理事業法により裁定が下るまでJASRACは
           使用料規程「音楽教室における演奏等」に基づく使用料の徴収ができない

音楽教育を守る会によれば、JASRACに対し
                       司法判断が確定するまでは徴収しないよう求めていた
しかしJASRACは、音楽教室を守る会が
       「(音楽教室の)利用者代表としての適格性に疑義がある」との主張を繰り返した

同会は「JASRACがいたずらに協議の引き延ばしを図っている」とし
      文化庁に協議の再開命令を申し立て、JASRACに対し協議再開命令が発せられた
その後も協議を行ったが、同会の主張をJASRACが受け入れず、今回の申請に至った

しかもJASRACがここまで血眼になって徴収しているのが
            本当に著作権者であるアーティストのためなのかは非常に疑わしい
肝心のアーティストへの著作権料の分配に関しても問題が指摘されている
今年8月、爆風スランプのドラマーであるであるファンキー末吉氏は
        著作権料の作曲者らへの分配が適正になされていないとして
               調査と業務改善命令を出すよう求める上申書を文化庁に提出
ファンキー末吉氏は会見を開き
                   著作権料がきちんと著作者に支払われていないと主張
その根拠として、自分自身も爆風スランプなどで2000年からの10年間
          全国のライブハウスで約200回のライブを開き
          自分が著作権者となっている楽曲を演奏したが
                     それに対する分配が1円も入っていなかったと語った
このようなことが起きた原因は、JASRACがとっている包括契約という方式にある
この契約では、ライブハウス側は使用された楽曲を一曲一曲報告して
 個別にJASRACに払うのではなく、決まった額を包括使用料として支払うことで
                   JASRAC管理楽曲を自由に使う許諾を得ることになる
その際、JASRAC側は、すべてのお店に人員を配置して
     何の曲が歌われたか調べるといったことはせず、一部のモニター店での
      演奏実績を基準としたサンプリング調査で徴収した著作権料の分配を決める
そのサンプリング調査の網の目から漏れた場合
                           ファンキー末吉氏のようなケースが起こる
ちなみに、ファンキー末吉氏はJASRAC側にサンプル店の公開を求めたそうだが
                               それにもまったく応じなかったという
この包括契約の方式は放送の分野でも適用されていた
「どの曲が何回放送されたか」などを1曲ずつ正確にカウントして
 楽曲使用料を算出する方法をとらず、放送局がJASRACに月単位
                        または年単位で一括して払うことにより
「JASRACに登録されている曲はすべて使用可能」という許諾をとる方式を採用していた
JASRACがこの契約システムを変えないかぎり
      放送局はJASRAC以外の著作権管理会社に登録されている楽曲を
                     使用するごとに追加の使用料が発生することになる
そこで当然起きるのは、JASRAC以外が管理している曲はコストがかかるし
                         手続きも面倒だから放送しないという動きである
なぜなら、JASRACは市場の90%以上を独占しており
    JASRACに登録されていない曲を締め出したところで、放送局側は特に不便はない
「イーライセンス社 放送使用楽曲の管理業務開始のお知らせ」
選曲時のお願いとして
        「前述のとおり、別途報告・支払いなど煩雑な作業が発生します
        *やむをえない場合を除いて、当面は極力使用を避けるよう、お願いします」
楽曲オンエアの制限について」
具体的にイーライセンスが管理するアーティスト名と作品名の60曲リストを添付
                「オンエアを当分見合わせることに致します」としたのは決定的
(後日、裁判では大きく問題視された)
JASRACと音楽業界のあり方に疑問を抱いた作曲家が、自身で作詞と作曲と
       編曲を手がけたものをJASRACの管理下から外し自身で管理することを発表
これにより一部のカラオケ会社で配信が停止になる騒動があったが
                       これも「包括契約」の制度ゆえに起こったことである

・余談
故人が好きだった曲を葬儀で使いたいときもJASRACに使用料を払う必要はあるのか
「故人が好きだった曲を葬儀で流したかったが
         葬儀屋に『著作権の問題が』と言われた」――こんなツイートが話題になった
JASRACによると、葬儀場で行う葬儀にJASRAC管理楽曲を使いたい場合
               葬儀場がJASRACと契約し、楽曲使用料を支払う必要があるという
会場に音響設備を整備して楽曲を流すのは、営利事業者である葬儀場であり
                          「楽曲の利用主体は葬儀場だ」と考えているため
使用料は、500平方メートルまでの場合1曲1回(5分まで)当たり2円
                               月額なら1200円、年額なら6000円など
(詳細はhttp://www.jasrac.or.jp/info/bgm/
既に多くの葬儀場が契約しており、JASRAC管理楽曲を流せるようにしている

JASRACと契約していない葬儀場で
                     JASRAC管理楽曲を使いたい場合はどうすればいいのか
担当者は「葬儀場に契約してもらうのが原則だが
                        困った時はJASRACに相談してほしい」と話している

自宅で行う葬儀は別
自宅の葬儀で楽曲を流す場合、楽曲の利用主体は喪主になる
喪主は葬儀を営利で行っておらず
   著作権法38条の「自由利用が認められる場合」に当たるため使用料は原則、必要ない

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JA(邪)SRAC(楽)?

日本音楽著作権協会(JASRAC)が、またもやとんでもない要求を出した
今度のターゲットは映画の上映権使用料
JASRACは、現在1本18万円の定額となっている外国映画の上映権使用料を
                         今後は興行収入の1%?2%に変えるよう要求
JASRACは来年4月からの実施を目指しているという
今後は、邦画や名画座などにおける
              過去作上映の上映権使用料のあり方も見直す方針を示している
さらにJASRACは、上映権使用料を配給会社や製作者からもらう
      現在のやり方ではなく、上映の主体者である映画館が支払っていく
                            仕組みづくりを目指していく意向も示した
これに対し、映画業界は猛反発
全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)は到底受け入れられないとしている
この抜本的な上映権使用料などの見直しはTOHOシネマズなどの
   大手シネコンはもとより、特に、小さな規模で運営しているミニシアターや
                                     地方の映画館に直撃する

「JASRAC問題」
現在の1作品一律18万円でなく興収に応じて徴収したいなら、その計算式を提示すべき
18万円というのは興収2000万未満の配給会社のとってはその額でさえ大きなコスト
                          大半のアート系映画はその前後の売り上げ
ここ数年、国内国外問わず良質なインディペンデント映画を上映してきた映画館が
                                       次々と姿を消している
以前なら学生が学割で映画を見るために学生証を提示したものだが
          今の客層は完全に中高年にシフト 2000年辺りから完璧に落ち始めた
少数の人に支持されるアート系作品をかけられる劇場が減り
      結果として、そういった作品を好む目の肥えた若い映画ファンも育っていかない
そんな悪循環は映画の「多様性」を失わせていくことにつながる
ただでさえミニシアターの状況は厳しいのにも関わらず、今回のような
          JASRACの動きは、映画業界におけるこの傾向を押し進めることになる

JASRACの懐が温かくなるのと引き換えに
    この国からは大手シネコンでかかる大作映画以外は上映する場所がなくなっていく
そんなことで本当に良いのだろうか?
JASRACのやり方は日本の映画業界の実情をあまりにもかえりみない横暴なもの

「教育と著作権」の問題でいうと、今年5月に起きた京都大学の式辞に関する騒動
京都大学のホームページに掲載された山極壽一総長の入学式の式辞に
   ボブ・ディランの代表曲「風に吹かれて」の歌詞の一部が引用されているとして
      JASRACが大学側に対し楽曲使用料が生じると指摘していた旨が報じられた
この件は大炎上した挙げ句
JASRAC側はこの件に関しては頑として徴収を訴えるようなことはなかったが
 引用した出典の記載もあり、どこからどこまでが引用なのかの区分も明確で
              「自己の創作部分が主であり、引用部分が従であること」という
引用の要件も満たしている式辞に対して威嚇のような指摘をしていた
これまで列挙してきたように、JASRACという組織のやり方に問題があることは明白
それによって多くの人が抱えた不満の火に油を注いだのは、JASRAC役員の対応
JASRAC浅石道夫理事長インタビュー(7月20日付)
                 ここで音楽教室の徴収に反対する人々の声をこう評している
「一般の人の反対には、反対のための反対
         『JASRACは気に入らないから、この機会にたたいてやろう』というのもある」

著作権料徴収によって引き起こされる音楽教育に与えるダメージについて
                議論しているのだが、これは話のすり替え以外なにものでもない
また、京大入学式の式辞の件に関し
「グレーな事案であり、徴収するとなれば訴訟になる可能性がある
                             経営判断として、そこまでしないと決めた
意見としては承るが反省なんかしていない」とした後、さらにこのように語る
『カスラック』という人たちは議論の相手だと思っていない
                         まっとうな議論をしている人には真摯に対応する」

現在のJASRAC会長が理事時代に
    「自家用車で聞くために、消費者はもう1枚同じCDを買うのか」という疑問に
                         「当然だと思う」と答えた発言がネット上で再炎上中
かつてはカセットテープ、現在なら自分で編集したCDなど
                「営利目的以外で楽しむ」のも許さないというのが現会長の持論だ
これには逆に法律侵害と怒る消費者がいても不思議ではない

車内BGM用にCDを作成したり、映画館で流れるサントラを楽しむ人は
                                むしろCDを買っているユーザーが多い
目先のお金にとらわれ浮世離れした発言をしていると、本当に街から音楽が消えかねない

そもそも、なぜ最近になってJASRACまわりで問題が立て続けに起きているのか? 
徴収対象を広げてきた背景には、CDのセールスの落ち込みにより
        レコード業界からの著作権収入が減少したことがあるとされると説明されている
実際その通りだろうが、そうであるならば、他から金をふんだくる前にやることがある

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adgger
もう何ヶ月「なし状態」?潰れたか・・・(-"-;)

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